坂本龍馬記念館活動報告2012年

平成24年「龍馬祭」盛大に挙行!



11月10日(土)、北海道坂本龍馬記念館及び函館龍馬公園を会場に、平成24年「龍馬祭」が盛大に挙行されました。龍馬祭は龍馬の誕生日・命日、そして「蝦夷地の坂本龍馬像」建立記念日である11月15日にあわせ、近代日本の基礎を築き、蝦夷地開拓を目指した坂本龍馬の志と行動力を受け継ぎ、誇りある国づくりを目指して同志が参集する一大イベントです。 全国の龍馬ファンや同志が交流し、熱く語り合った一日のようすをご紹介します。


@「函館史跡・名所めぐり」(9:30〜12:00)
今回初めて開催された函館西部地区の史跡探訪ウォーク。最高のお天気に恵まれ、大学生、会社員、公務員、主婦といった幅広い層の参加者16名が、坂本龍馬、中岡慎太郎、近藤勇、岩崎弥太郎、お龍などの幕末の志士に扮装して函館西部地区の史跡・名所をめぐりました。 参加者同士のコミュニケーションも活発で、途中、地元参加者の飛び入り解説などもあり、皆が楽しみ、交流を図りながら函館の歴史を学びました。



《見学スポット》

○蝦夷地の坂本龍馬像→○高田屋嘉兵衛資料館→○金森倉庫・旧三菱倉庫・七財橋→○ラッキーピエロ・ハセガワストア→○新島襄ブロンズ像→ ○東浜桟橋・北海道第一歩の地碑→○箱館運上所跡(海上自衛隊函館基地)→○明治天皇上陸記念碑→○新島襄海外渡航の地碑→○緑の島→ ○函館臨海研究所→○箱館丸→○函館どつく→○旧ロシア領事館→○山上大神宮→○実行寺→○称名寺→○ペリー会見所跡→○函館旧公会堂→ ○旧渡島支庁庁舎→○元町公園→○ペリー像→○旧イギリス領事館→○旧相馬邸→○八幡坂・函館西高等学校→○函館ハリストス正教会→ ○函館カトリック元町教会→○東本願寺函館別院→○カール・レイモンハウス→○五島軒本店→○旧丸井今井(現まちづくりセンター/ 東北以北最古の手動エレベーター利用体験)以上、計31ヶ所。



A「坂本龍馬蝦夷地上陸祈念祭」(14:00〜14:40/於 函館龍馬公園)
龍馬の宿願であった蝦夷地上陸を祈念し、その高き志と功績を顕彰し、受け継ぐこの式典には約300人の方々がご列席されました。函館西高等学校吹奏楽局の皆さんによる開会ファンファーレと演奏、「函館学生連合〜息吹〜」と「函館躍魂いさり火」の皆さんによる躍動感溢れるYOSAKOIソーランの演舞奉納のほか、函館市議会議員・藤井辰吉氏、陸上自衛隊函館駐屯地司令・佐藤和之氏よりご祝辞をいただきました。 そして最後に、主催者を代表し、郷士坂本家10代当主・坂本匡弘より御礼の挨拶がありました。

《式次第》
一、開会の辞
一、海援隊旗掲揚   演奏 北海道函館西高等学校吹奏楽局
一、祭文奉読     北海道坂本龍馬記念館館長 三輪貞治
一、奉納       YOSAKOIソーラン演舞 函館学生連合〜息吹〜
           YOSAKOIソーラン演舞 函館躍魂いさり火
一、祝辞       函館市議会議員 藤井辰吉氏
            陸上自衛隊函館駐屯地司令 佐藤和之氏(甲斐教一郎氏代読)
一、主催者挨拶    郷士坂本家十代当主 坂本匡弘
一、閉会の辞



祭 文

 坂本龍馬先生のご生誕及び命日、そして蝦夷地の坂本龍馬像建立記念日に際し、先生のご遺徳を偲び、謹んで申し上げます。 幕末、坂本先生は、その高き志と行動力、そしてその人徳により、薩長同盟締結から大政奉還へと導き、長く続いた武家政治を終焉させ、近代日本の礎を築くという、世界でも類稀なる政治体制の変革を成し遂げられました。また、幕末動乱期にあって蝦夷地開拓と防衛の重要性にいち早く着眼され、その実現に向けて行動されました。 先生の蝦夷地上陸への篤き想いは、やがて坂本家ご子孫の北海道入植によって受け継がれ、平成二十二年十一月十五日、戊辰 戦争終焉の地であるここ函館において、全国の同志の篤い想いと力が結集し、蝦夷地の坂本龍馬像建立という形で具現化されました。 坂本先生をはじめとする多くの先人の方々のお陰によって、現在の日本、そして北海道の繁栄があります。 しかし、昨今の我が国の現状は、国内外を問わず、政治、経済、外交など、あらゆる分野で混迷を極め、幕末同様、国難とい える局面を迎えています。 坂本先生が目指された「日本のせんたく」を継承し、この難局を乗り越え、誇りある国づくりと世界平和を目指して同志の輪を広げるべく、今後一層、努力、邁進していくことをここにお誓い申し上げます。
平成二十四年十一月十日                       北海道坂本龍馬記念館館長 三輪貞治

B「公開フォーラム」(15:00〜17:30/於 北海道坂本龍馬記念館内特設会場)
誇りある国づくりを目指して熱い意見交換を行う公開フォーラム。今年のテーマは『平成の国難・龍馬ならどうする?』。日本が抱える様々な問題に危機感を持ち、今こそ龍馬の志を継承して行動しようという意志を持って北海道、東京、横浜などから集まった大学生、主婦、公務員、会社員、経営者などの同志15名が、郷士坂本家10代当主・坂本匡弘氏と共に、世代や性別を超えて熱い討論を交わしました。 自己紹介に続き、まず、現在の日本が国難といわれている一番の原因について皆さんの意見を伺いました。○拝金・金儲け主義が蔓延していること(公務員・男性)、○若者の雇用がなく、社会が若者の活力を生かせる制度になっていない(会社員・女性)、○少子高齢化による国力の減退(大学生・男性)、○日本は全てにおいて制度疲弊を来している。また、最近はアジア新興国の経済発展がめざましく、日本経済が停滞している(会社員・男性)、○愛国心や郷土愛の欠如(自営業・男性)、などの意見が出されました。皆さんが共通して感じていたことは、日本人全体が国や先人に対する誇りや尊敬の念を失っているという現実でした。 また、現状の重要な問題点として、特に教育に関する問題提起があり、社会人と学生それぞれの立場から以下のような意見が出されました。○日本は誇り高い歴史や先人を持つ国であるにもかかわらず、教育現場ではそのことが教えられていない。熊本にある不登校の生徒を集めた通信制高校では、明治以降の歴史を独自の視点で伝え、日本人の誇りを持たせる教育によって多くの生徒が不登校を克服したという事例がある(公務員・男性)、○学校や職場に共通して感じるのは、自由に意見が言いにくく抑圧的な雰囲気があるということ。授業も画一的で決まったプログラムをこなすという感じの先生が多かった(会社員・女性)。○学校の歴史は暗記ばかりで嫌いだったし成績も悪かったが、社会人になって歴史小説を読んで歴史が好きになり、愛国心を持つようになった(団体職員・男性)、など。日本の将来を考える時、教育を見直すことが大変重要であるという提言が出されました。

続いてのテーマは「今、龍馬から学ぶべきことは何か?」について。○東日本大震災の際に福島で被災した友人がいて、仮設住宅で不安な日々を送っている中で、義援金が全く関係のないことに使用されていることを知って疑問に感じた。龍馬さんなら、きっと最も困っている人々のことを最優先に考えて行動に移してくれていると思う(30代主婦)、○龍馬は国益を第一に考えたし、それが一番大切なことだと思う(公務員・男性)。その後は領土問題なども加味しながら「国益」を軸として討論が進められました。○幕末の日本人がまだ「世界の中の日本」という認識を持てない中で、世界に目を向けて日本の国益を考えていた龍馬はすごいと思うし、その根底にあったのは愛国心だと思う(大学生・男性)、○「船中八策」は龍馬が日本を列強諸国に対抗できる統一国家にしようという意図が感じられ、不平等条約の改正や関税自主権の回復など、特に国益を守るという観点において現代にも通じると思う(団体職員・男性)、○尖閣や竹島など領土問題に関する国の対応が遅く、かつ毅然とした態度をとっていない。龍馬は幕末において既に蝦夷地や竹島開拓を考え、行動していた(公務員・男性)、○幕末に外交を担当した人々は優秀で胆力があったと思う。現在の政府にも見習ってほしい(80代女性)。 以上のように、現在のような様々な外圧に対して毅然として渡り合える度量や、常に先を見通した龍馬のようなリーダーが必要とされていること、そして、まず自分自身が龍馬に学び、行動に移していくことの大切さを確認し合いました。

最後のテーマは「龍馬なら平成日本をどう改革するか?」について。○龍馬なら若い力をもっと発揮させると思う。そのためには教育改革が必要。かつて明治時代の日本人がヨーロッパの人々から最高の国民だと称賛されていたのは、当時の教育の賜物だと思う(会社員・男性)、○幕末に日本を訪れた外国人は一様にすばらしい国であると称賛した。それは身分の違いに関わらず家族や地域社会が強い絆で結ばれ、貧しくても清潔で無駄のない生活を送っていたから。人間関係が希薄になり物質文明に浸りきった日本人にとって幕末の生活を知ることだけでも学ぶことは多いと思う(団体職員・男性)、○政治の刷新が急務だと思う。能力よりも利権やしがらみなどが優先される政治(家)を改革しなければならない。そのためにはまず、国民の意識改革が必須だと思う(自営業・男性)、○愛国心は、家族を愛し、郷土を愛することによって育っていくものだということが納得できた(大学生・男性)、○日本人の絆が希薄になってきているのは、日本が天皇を中心とした永い歴史を持っていることや、国柄がどういうものかということをしっかりと学んでいないことが一番の原因(団体職員・男性)、○武士道精神が復活してほしい(80代女性)など。 最後に、参加者の皆さんから今後に向けての決意表明を発表していただきました。○日本史(国史)をもう一度きちんと学び直す(大学生・男性)、○歴史講座を開催しているので、多くの人々と共に先人に感謝し、その足跡を学んでいきたい(80代女性)、○龍馬のように、情熱を持った若い人たちを育てていきたい(自営業・男性)、○これを機に政治や日本史を真剣に学んでいきたい(会社員・女性)、○(出産を控えているので)明るい家庭をつくり、子どもを立派な日本人に育てたい(30代主婦)、○市町村の人々と関わりあいながら自分ができることを行動に移していきたい(公務員・男性)、○歴史の語り部として先人の偉業や日本のすばらしさを多くの人々に伝えていきたい(福祉関係・男性)、○今まで龍馬関連行事には参加してこなかったが、龍馬が今多くの日本人に望まれている人物であることを実感し、この龍馬祭参加をきっかけに、今後は龍馬の精神を広めるために力を尽くしていきたい(坂本匡弘氏)。  それぞれが発表した決意表明の結果を、また来年の龍馬祭で再会した時に報告することを確認し合い、熱い意見交換が交わされた公開フォーラムは閉幕となりました。

C「懇親交流会」(18:00〜/於 北海道坂本龍馬記念館ホール)
公開フォーラムに続いて開催された懇親交流会。地元の主婦ボランティアさんによる函館名物のいか刺、いかめし、豚汁などのおいしい手料理に舌鼓を打ちながら、幕末論や国家論が繰り広げられました。今年の参加メンバーは酒豪揃い。高まる熱気と共に一升瓶が次々と空になっていきました!

開始にあたり、嘉門流嘉門衛信の会・市川勲氏が、御祝としてご自身の振付による日本舞踊を披露してくださいました。龍馬ファンの市川氏が選んだ曲は鳥羽一郎の『坂本龍馬』。“龍馬魂”と記された扇子を手に龍馬にぴったりの勇壮な演舞が披露され、参加者からは盛大な拍手が贈られていました。また、昨年に続き、今回は奥様と友人を誘って参加してくださった東京の会社経営者の方は、手作りの龍馬のアクリルパネルを龍馬祭のお祝いとして寄贈してくださいました。今日のために奥さまと共に作成してくださったとのこと。想いが込められた手作りの贈り物に、龍馬さんもさぞ喜んでくれていることでしょう!パネルは早速記念館のホールに展示させていただきました。

懇親交流会においても、現代日本が抱える外交問題や教育問題など、公開フォーラムに続く熱い討論が交わされ、特に大学生や新社会人の参加者は、学校では決して聞くことのできない歴史や様々な情報を先輩諸氏から聞くことができ、大きな収穫となったようです。 平成24年「龍馬祭」は、全国の龍馬ファンや同志の皆様にご参集いただき、親睦・交流を図りながら盛況裡に終えることができました。ご参加・ご協力いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。今後も日本の改革に寄与すべく、また、龍馬精神を世界に発信すべく邁進してまいります!!