坂本龍馬記念館活動報告2016年

坂本龍馬没後150年 第14回 龍馬祭

坂本龍馬没後150年の節目となる今年の龍馬祭は、11月11日(土)と12日(日)の2日間の日程で開催されました。
 龍馬祭は龍馬の誕生日と命日、そして北海道坂本龍馬記念館開館と蝦夷地の坂本龍馬像建立記念日である11月15日に合わせ、近代日本の基礎を築き、蝦夷地開拓を目指した坂本龍馬の志と行動力を受け継ぎ、龍馬が目指した新天地・北海道において全国の龍馬・幕末ファンが共に学び、交流を深めると共に、函館の活性化に寄与することを目的に毎年開催しています。
 ここでは、2日間に渡って盛大に挙行された第14回龍馬祭の様子をご紹介します。


《11月11日(土) 五島軒本店・芙蓉の間》


■特別記念講演『坂本龍馬・西郷隆盛の子孫が語る「幕末と未来」』

 今年の龍馬祭最初の催事は、郷士坂本家十代当主・坂本匡弘氏と西郷隆盛直系五代当主・西郷隆太郎氏を講師に迎え、トークセッション形式による特別記念講演「坂本龍馬・西郷隆盛の子孫が語る『幕末と未来』」が開催されました。
 今年は坂本龍馬没後150年、加えて来年のNHK大河ドラマが『西郷どん』ということもあり、且つ、両雄のご子孫によるトークセッションとあって会場には約80人の歴史ファンが詰めかけ、質疑応答でも多くの質問が出されて熱気溢れる講演会となりました。
 坂本匡弘氏からは、郷士坂本家ご子孫と北海道との深いつながりや、今年1月に発表された「新国家」の文言を含む龍馬の手紙の紹介、そして西郷隆盛、勝海舟両氏が龍馬を偲んで坂本家に贈った書の写真など、貴重な史料が紹介されました 。
 一方の西郷隆太郎氏からは、自身の生い立ちと共に、19歳の時に初めて訪れた鹿児島の南洲神社において西南の役で亡くなった志士たちの雰囲気を感じ、心の底から血がたぎる思いを感じたこと。そして豊かになった現代こそ、西郷さんが残した言葉「敬天愛人」精神の必要性を確信していることなどが熱く語られました。
 最後に、両家が協力して大切な歴史を後世に伝えていくことを約束して固い握手をもって締め括られ、時空を超えて続く坂本龍馬・西郷隆盛両雄の固い絆が垣間見られたすばらしい講演会でした。

■懇親交流会

 特別記念講演に引き続き、株式会社五島軒取締役社長・若山直氏による乾杯のご発声でスタートした懇親交流会では、地元函館をはじめ、東京都、神奈川県、岩手県、青森県、札幌市などから参加した龍馬ファンや歴史ファンのほか、今回は第4回全国龍馬書道コンクールで見事審査員特別賞を受賞された東琴音さん(栃木県・中1)がご家族4人で参加され、ご自身の受賞作品を手にすばらしいスピーチを行ってくださいました。「昨年は入賞できなかったのでとても悔しかった。その後一年間、一生懸命努力をして今年は入賞できたのでとても嬉しい!」と、その喜びを語ってくださいました。今後も努力を重ね、益々すばらしい作品を応募してくださいね。
 後半は、当館正会員で水月流賢心朗吟会会長・湊賢心氏による坂本龍馬の和歌と西郷隆盛の詩の朗吟披露、そして、「函館学生連合〜息吹〜」の皆さんによるエネルギッシュなYOSAKOIソーランの演舞披露などが華を添え、歓声と笑いに包まれた懇親交流会は盛会裡のうちに終了しました。




◆11月12日(日) 北海道坂本龍馬記念館

■坂本龍馬蝦夷地上陸祈念祭

 2日目は、北海道坂本龍馬記念館特設会場にて、昨日の特別記念講演で講師をつとめていただいた西郷隆太郎様に来賓としてご参加いただき、坂本龍馬蝦夷地上陸祈念祭が執り行われました。幕末期に龍馬の縁戚・澤辺琢磨が宮司をつとめたことで知られる山上大神宮禰宜・澤辺伊都子様に斎主をおつとめいただき、龍馬の高き志と行動力を受け継ぐ誓いの式典として厳粛に挙行されました。
 澤辺様による神事、三輪館長の式辞に続き、今年は龍馬没後150年の節目にあたることから、郷士坂本家十代当主・坂本匡弘氏より祭文が奉読され、最後に函館市議会議員・藤井辰吉様よりご祝辞をいただきました。また、函館市長・工藤壽樹様、前衆議院議員・前田一男様より祝電を頂戴致しました。 祈念祭終了後には、今般新たに就任される運びとなった名誉顧問・坂本登氏及び顧問・坂本匡弘氏の就任式が執り行われ、三輪館長より委嘱状と記念品が贈呈された後、坂本匡弘氏から就任のご挨拶がありました。(※坂本登氏は都合により欠席のため、代理として坂本匡弘氏に受領していただきました。)



〈祭 文〉

 平成29年11月12日、北海道坂本龍馬記念館の館内におき、坂本龍馬直柔の英霊を迎え、西郷隆盛のご子孫、関係者各位の臨席を賜り、北海道坂本龍馬記念館主催、坂本龍馬蝦夷地上陸祈念祭を挙行するに当たり、幕末においてその尊い命を新国家創造にささげられた御霊に謹んで祭文を奏上いたします。
 今を去る150年前の幕末期に、英霊の皆様が実現した薩長同盟、そして大政奉還は現代の日本の歴史として永遠に語り継いでいかねばならぬ新国家設立要件として重要な事績と確信しております。
 当時アメリカをはじめ、イギリス、フランスなどの列強諸国が迫りくる中、現状を憂い、新しい日本設立の為東奔西走し、その身を投じ、ついには大政奉還実現まで導いたその業績は、現代の私たちの記憶の中に刻まれております。しかしながら、明治という新国家設立を現実に見ることが出来なかったことはさぞ無念なことであったでしょう。
 龍馬亡き後薩長を中心に龍馬が目指した新国家が明治という元号で成立致しました。 龍馬が願っていた北海道の開拓は龍馬の甥である直寛が引き継ぎ、北海道の北見という土地に入植し、北光社を設立し、しっかり地元に根付きました。その後の一族は北海道で商売を拡張し、そして坂本家を守ってまいりました。祖父は開拓農業を行いながら山岳画家になるなど龍馬の夢を実現し継承致しました。
日本を何とか良くしたいという英霊たちの行動を顕彰し、現代の若者にその精神や行動をしっかりと語り継いで行くことが必要であり、現代人にとって必要な使命でもあると固く決意致します。 現代の日本は不安定な時代に突入し、世界的にも益々混迷が深まりつつあります。 明治維新から150年近く経ちましたが、さながら当時の様相を呈してきているのではないでしょうか。 先の見えない不透明な時代こそ、幕末に生きた英霊たちの知恵や行動を今一度顕彰し、その知識や経験を学び、今を生きる人々の一筋の光明としていきたいと考えます。

平成29年11月12日
郷士坂本家十代 坂本匡弘




■「第4回全国龍馬書道コンクール」・「第3回『百年後の日本人へ』現代の志士手紙コンクール」表彰セレモニー


 坂本龍馬蝦夷地上陸祈念祭に続いて開催された書道コンクール・手紙コンクールの表彰セレモニーには、全国の受賞者37名のうち27名の方々が出席されました。三輪館長による主催者挨拶、書道コンクール審査委員長・上山天遂氏による審査講評、受賞者発表と表彰に続き、手紙コンクール受賞作品の朗読が行われました。
 また、ご来賓である西郷隆盛直系五代当主・西郷隆太郎様よりご祝辞を賜り、最後に当館正会員で水月流賢心朗吟会会長・湊賢心氏による坂本龍馬和歌と西郷隆盛の詩の朗詠が披露されました。坂本家・西郷家両家のご子孫と共に、日本の伝統文化の継承、そして未来の日本人に向けてのメッセージを残した貴重なこの機会は、受賞者の皆さんにとってかけがえのない経験になったことでしょう。


■坂本家当主といく「函館・幕末史跡めぐり」

 今年の龍馬祭最後の催事は、坂本龍馬没後150年特別企画として函館の幕末の史跡をめぐるバスツアーが実施されました。函館の超ベテランバスガイド・森幸子氏による他の追随を許さない博学多彩な解説と軽快なトークと共に函館市内の史跡をめぐりました。 このバスツアーには40名の方々が参加され、席がほぼ埋まった大型バスは終始熱気ムンムン。北海道上陸を果たせなかった龍馬に代わり、郷士坂本家十代当主・坂本匡弘氏と共にめぐる函館の旅は、一味も二味も違う楽しく意義深いものとなりました。

〈主な見学先〉碧血碑、函館八幡宮、函館護国神社、函館ハリストス正教会、カトリック元町教会、函館聖ヨハネ教会、東本願寺函館別院、ペリー像、山上大神宮、実行寺、称名寺、高龍寺、外国人墓地、新選組最後の地碑、弁天台場跡、旧函館区公会堂、函館市国際水産・海洋総合研究センター、レニー先生記念碑、時任為基ゆかりの地碑、乃木神社、ほか。

 坂本龍馬没後150年の節目となる今年の龍馬祭は、全国の多くの方々のご協力とご参加をいただき、盛大に挙行することができました。ご来賓及び出演者各位、そして全国からご参集くださった同志や受賞者の皆様、本当にありがとうございました。
来年は明治維新150年、そして北海道150年を迎えます。益々盛大に、意義深く、そして楽しい第15回龍馬祭を開催すべく準備を進めてまいります。次回も多くの皆様のご参加を心よりお待ちしています!!