西郷隆盛備忘録⑤(最終回) 「妻・糸子さんの言葉」
西郷隆盛の曾孫・西郷隆夫氏の講演会で紹介されたエピソードより。西郷さんは常に「人」と共に生きる気配りの人であった。夜、仕事で遅く帰宅した西郷さんは、子供たちを起こさないようにと、忍び足で家に入ってくることもしばしばだったという。その姿を想像しただけで可笑しく、優しい気持ちになる。
その後はきまって、西郷さんは糸子さんのひざまくらで今日一日の出来事を報告し、糸子さんの感想や意見を聞いたらしい。糸子さんは、西郷さんが自分にだけそういった話しをしてくれることがとても嬉しく、それを「幸せ」ではなく「仕合わせ」と表現し、ある日子供たち全員を集め、次のように語ったという。
『愛するということは、愛されることへの限りない奉仕なのです』
西郷さんはまさに、人を愛し、包み込むことで「仕合わせ」の輪を広め続けた人なのだと思う。隆夫さんのご講演を拝聴していると、自然に温かい涙がこぼれ、西郷さんの人柄に触れることができたと感じた。
すばらしいご講演を聴かせてくださった西郷隆夫氏と、この講演会にご案内くださった北海道南洲会の皆様に心より御礼を申し上げます。写真は西郷さんの妻・糸子さん。